どうも、ネットワークビジネスの鬼のFumisukeです(勧誘する側でなくされる側として)
ネットワークビジネス、MLM(マルチレベルマーケティング)、マルチ商法…いろいろな呼び方がありますが多くの人が一度は勧誘されたことがあるのではないでしょうか。
また新入社員はそれなりの規模の会社に入ると先輩に誘われて「あっ!これかー!」と経験するものです。
私は基本的にちゃんとしてれば合法なのでネットワークビジネスを全否定するわけではないのですが、新入社員や若者が泥沼にハマってしまうことのないよう注意点と実際に受けた勧誘体験を紹介したいと思います。
目次
ネットワークビジネスとは
基本的な定義
法的には特定商取引法第33条で定義される連鎖販売取引という販売形態で、商品を取り扱う会社は広告を基本的に打たないので、人脈・人のつながりを活かした口コミ販売によって商品を売っています。
あなたの周りのお友達が突然商品を紹介するのはそういった販売手法だからです。
また大きな特徴として「商品を紹介した人が更に他の人に商品を売り上げると一部報酬が入る」というのがあります。
消費者が新たに消費者を紹介して商品が広がっていきネットワークが形成されることから、ネットワークビジネスと呼ばれます。
ネズミ講との違い
よくネットワークビジネスをネズミ講という人がいますが厳密には違います。
違いはいくつかありますが決定的な違いはネズミ講はそもそも違法です。
例として当時法律がなかったので詐欺罪・出資法違反には問われなかったものの1978年に無限連鎖講の防止に関する法律が制定されるきっかけになった(と思われる)天下一家の会事件を紹介します。
天下一家の会のネズミ講の仕組みはいくつかのバリエーションがあるが、その一例として「親しき友の会」について説明する。
- 会員になった人(説明の都合で「A」とする)は、本部が指定する5代上位の会員に1,000円を送金する。本部には入会金1,028円を送金する。
- Aは、4人の新会員(子会員、1代下位の会員)を勧誘して入会させる。
- 子会員は、4人の新会員(孫会員、2代下位の会員)を勧誘して入会させる。Aから見ると16人(=4²人)の孫会員がいることになる。
- 孫会員以下、同様の活動を行なう。
- ……
- Aの5代下位の会員は1,024人(=45人)になる。その1,024人から各1,000円ずつで合計1,024,000円の配当を受領する。
引用元:天下一家の会事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%B8%8B%E4%B8%80%E5%AE%B6%E3%81%AE%E4%BC%9A%E4%BA%8B%E4%BB%B6
もちろん現実には勧誘する人間の数に限りがあるのでこんな理屈通りにうまく会員が増えるわけもなく、後になればなるほど飽和して崩壊する確率が高くなります。
天下一家の会事件は動画でも残っています。
ネットワークビジネスは不労所得でないし簡単に儲からない
「勧誘して子会員から収入が得られるネットワークビジネスが不労所得!」「簡単に権利収入!」と勧誘する人がいますが現実はそんなに甘いわけがありません。
確かに多くの人を紹介して売上が上がり続ける限りは収入が入ります…「多くの人を紹介して」「売上が上がり続ければ」という2点が成り立つ限りは。
「多くの人を紹介する」…これもう不労所得でなく立派な労働で営業マンですよね。そもそもネットワークビジネスで上位に入るくらい売上を伸ばせる人はどこにいっても優秀ば売上を出せるでしょう。あなたは世間一般的に優秀な営業マン・ビジネスマンでしょうか?友人に縁を切られても耐えられますか?
「売上が上がり続ける」…果たしてこれも今後40年50年という長いスパンで本当に成り立つでしょうか。これから老後までそのネットワークビジネスだけで生きていけますか?
ネットワークビジネスが不労所得であり、簡単に儲かるなんていう話は幻想です。
私が仕事柄知っている某MLM会社の若い人たちは、なかなか売れずに泣いていたり、売れなさすぎて辞めたり、ネットワークビジネスをやっているというだけで一般人から冷たい目でヒソヒソ言われていたりします。
よくある商品
ネットワークビジネスでは定期的な購入が売上につながるため以下のような商品と謳い文句がメジャーです。
- 健康関連商品:健康・ダイエット
- 日用品:高品質
- 化粧品:高品質
- 旅行:会員権で格安旅行
もちろん上記は「高額の入会費等を払えば」という条件付きです。
高品質であればある程度コストがかかるのはまあ当然なんですが、一つ事例を紹介します。
「旅行等会員権の連鎖販売業者に3か月の一部業務停止命令」
事業者名:株式会社リゾネット
本日、都は、旅行等会員権の連鎖販売を行っている事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)に基づき、業務の一部停止(3か月)を命じました。
当該事業者の勧誘者は、「お茶しませんか。」などと呼び出した消費者に、旅行を楽しんで収入も得られるなどと書かれた書面を読ませて説明会に誘い出し、消費者が断っても複数の会員が執拗に勧誘して、連鎖販売契約を締結させていました。
引用元:旅行等会員権の連鎖販売業者に3か月の一部業務停止命令
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/01/17/06.html
格安で旅行できる!旅行に行くだけでお金がもらえる!という甘い言葉で勧誘し、セミナーに行くと強引に契約を迫るというものでした。
事例4
平成27年9月頃、消費者丁の携帯電話に知り合いのHがSNSで「〇〇で会おう。」とメッセージを送ってきた。丁は会って雑談をしようと思い、会うことにした。
数日後、丁はHと会うと、「このレターを一言一句読んでみて。」とファイルを渡された。セールスレターには格安で海外旅行ができるなどと書いてあった。Hから説明会にしつこく誘われて断りきれず、丁は説明会に行く約束をした。
数日後、丁はHと一緒に説明会に行った。席は予め決められていて、Hの位置から丁の様子が見える位置だったので、丁はHに監視されている気分だった。席に座ってしばらくすると、講師Iが説明を始めた。「格安で海外の一流ホテルに泊まれる。」「会員サービスの上限は10万人と決めているので、10万人超えたら登録できなくなる。」「早くしないと10万人になってしまうよ。」「紹介するためにはレターを読ませるだけでいい。」などと説明した。Iの説明が終わると別の講師が出てきて、スライドで特定利益について説明した。休憩になり、トイレに行こうとするとHがついてきた。Hがずっと離れないので、見張られているようで、帰れなかった。
講師の説明が終了し、Hとテーブルに並んで座ると、会員に囲まれた。テーブルの上には概要書面と会員登録申請書があった。Hが概要書面の特定負担の欄を指して、「ビジネスクラスだね。」と言った。丁は「お金ありません。」「こんなことやりません。」と断ったが、Hは「クレジットカードでもいいから出して。」と登録を迫った。丁が持っていないと言うと、「クレジットカードがないなら銀行のキャッシュカードを出して。」「あるでしょ。」「早く出して、早く早く。」「いいから申請書を書いて。」と強い口調で言った。丁は断ったが、Hは「一応書いておいてよ。」と強い口調でしつこく迫ってきた。丁は周りを会員に囲まれて逃げることができず、長時間勧誘され、早く帰りたいと思った。登録しなければ帰らせてもらえないのではないかと思い、仕方なく登録するしかないと思った。
引用元:参考資料 事例
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/01/17/06_02.html
怖すぎますね!最近はSNSで一般人を装って近づいてきたりするので悪質です。また元々の知り合いであれば知り合いを金の卵としか見てないのが、ネットワークビジネスが嫌われる理由です。
MLMをやっている人の見分け方
ではどうやって私たちはネットワークビジネスの魔の手から逃れれば良いのでしょうか。
一番はセミナーに行かないことです。私くらい偏屈な人間であればセミナーに行っても強い意志を持ってNOを示して果ては「転び公妨」のように触られた瞬間に激しく転んで被害を訴えますが、多くの人は押しに負けて契約書を書いてしまいます。
よってここではセミナーへ行かないためにMLMをやっている人の見分け方を紹介します。
ポジティブキーワードを頻繁に使う
彼らは自らをマインドコントロールしていることもあり、とてもポジティブなキーワードを使いまくります。
その一例を下記に並べてみました。
- 夢
- 仲間
- 変わった・変われる
- ビジネス・事業
夢は彼らの最頻出キーワードです。やたらと夢について熱く語り、こちらの夢もしつこく聞いてきます。しかしその話の結論は一緒にネットワークビジネスやろうぜ、俺のところから商品買ってくれよなということです。
ネットワークビジネスをやっている人は同じ商材を扱う人同士で集まり、盛んに交流しています。最近はチームで販売するシステムのMLMもあるためコミュニケーションを取るという目的もありますが、勧誘する人に「楽しそう・入りたい」と思わせる目的もあります。
私からすれば休みの日まで会社の人間と一緒にいるのは嫌なんですが、上京してきて知り合いがいない人なんかだと良く見えてしまうようです。
ネットワークビジネスを通して自分がいかに変わったか・変われたかを語ります。
ネットワークビジネスが一国一城の主のようなもので誇らしいことだと説明します。でも個人事業主でも法人でもつくるだけなら簡単ですからね。
金持ち父さん貧乏父さんの話をする
「金持ち父さん貧乏父さんは読んだことある?」これも決まり文句です。
誤解のないように言っておくとこの本が悪い本というわけではありません。一生懸命働いても自由を得難い従業員・自営業から投資家になり経済的にも時間的にも自由を得ましょうという事が描かれています。それ自体は良い考えだと思います。
しかしネットワークビジネスを勧める人たちは話をすり替えて、実現するためにネットワークビジネスを一緒にやりましょう!と言ってきます。
この話が出たら要警戒…というか8割方確定です。
現状の収入に満足しているか聞いてくる
「今Fumisukeくんはさあ、自分の収入に満足してる?」
という感じに聞いて大体の人はしてないと答えるので、そこからネットワークビジネスの話が始まります。
収入に満足してないからネットワークビジネス…とはなりませんよね。
成功者に会わせようとする
成功者とはその商品・サービスを販売してる元締めだったり大口だったりします。
彼らはその成功者がいかに優れていてカリスマ的な人物かを語ります。
そして実際に会うと大体が「タワマンの上階に住んでる」「高級車に乗ってる」「飲食店経営」「年商○千万円」「皆に囲まれてパーティー」というテンプレ金持ちです。
そのようなテンプレ金持ちに一緒に頑張ってなろう!という誘導ですね。
そしてタワマンに行くと仲間が大勢いて「一緒にやろうよ!」と360度から圧力を受けます。
やたらとリアクションが大きい
例えばご飯を食べたとして…
普通のリアクションが「美味しいー!」だとしたら彼らのリアクションは「うまー!!なにこれメチャクチャ美味しい!!ヤバイ美味しい!!」です。
彼らは本当にハイテンションです。
え、そんな反応するとこあった?というレベルで。
イベント・パーティー・合コンにやたらと誘う
彼らは休みのたびにイベント・パーティー・合コンを開いてます。
それはグループの楽しさの演出でもありますが。新しい顧客の開拓でもあります。
事実、私も以前は合コンは何回も行きましたが主催者はいつもネットワークビジネスをやってる知り合いでした。
注意としては彼らは「知り合いを連れてくる」ことを要求してくることが多々あり、場合によってはその知り合いを勧誘しようとしてくるので共犯者扱いされないよう気をつけましょう。
私は事前に「主催者はマルチやってるから勧誘されてもスルーしてね」と伝えて友達を誘ってます。
違和感を感じる
ここまで色々言いましたけどこの違和感が一番大切です。
何かズレてる、何かおかしいという違和感…その違和感について深く考えましょう。
私レベルの経験者になると相手の「目」とか「話し方」でだんだん分かるようになります。
勧誘実体験「マルチで不労所得と聞いたけど、なぜか誰一人仕事を辞めようとしない件」
その日、私はたまたま共通の友人を通じて合コンで意気投合したAと飲みに行こうという話になった。
私のAに対する第一印象は「悪いやつではないが目玉焼きにソースを食べるくらいの違和感がある」というものだった。しかし目玉焼きにソースをかけること自体に罪はない、違和感はさておき一緒に飲むことになった。
Aは知り合いのBさんがオーナーをやっているオススメのお店があるのでぜひそこに連れていきたいと言ってきた。
場所は都内某所、多くの人で賑わう飲み屋の多いメッカにある流行りを追求したような小洒落たお店だ。お店はなかなかの広さだったが多くの若い人で賑わっていた。
そこで談笑しながら飲んでいると神は舞い降りた。
「あ、Bさん!」
Aが声を掛けると多くの人の羨望の眼差しを受けながら紅海を割ったモーゼのごとく威風堂々とBはこちらにやってきた。
「こんばんは、今日は楽しんでってね」
Bは少々の挨拶を交わすと爽やかに去っていった。
Aがすかさず話す。
「Bさんはね、本当にすごくてカッコイイ人なんだよ」
そう語るAの目はキラキラして屈託のない笑顔だった。
見た目は30歳前後と若いがBはこの店のオーナーらしい。そしてAはBのカッコよさを語り始めた。
タワーマンションの最上階に住んでいてパーティーでは多くの人が集まること。
いつも周りに多くの人が集まること。
いくつもの高級車に乗っていること。
そして、自分に熱く夢を語ってくれたこと…。
もう私はこの話を聞いた時点で「あっ(察し)」となったのだがAはピロートークを続ける。
Bさんに出会ってビジネスを始めたこと。
話下手で内気だった自分が変われたこと。
たくさんの仲間に出会えたこと。
※彼らは上記のような写真をみんなで集まってFacebook等にアップするようになる
私は「これ進研ゼミで見たやつやん…」と思いながら聞いていた。ただ私もいい大人なので否定はせず良かったねと労ってあげた。
結局私が全く興味を示さないからか直接勧誘をされることはなかったが、その後も「知らない友人を連れてくる」という条件付きで合コンには呼ばれ続けた。
私は友人には「合コン主催者はマルチやってるから誘われたら断ってね」と伝えていたので事なきを得たのだが、いつしか自然と呼ばれなくなってしまった。
ネットワークビジネスの世界は金の切れ目が縁の切れ目だ。
もう今となってはそのお店の名前も忘れてしまったが、そのオーナーの名前で検索するとキラキラした仲間との写真やビジネスについて熱く語ってるブログがあった。
最近流行りの顧客獲得方法
最近は直接の友人・知人の勧誘からSNSや街コンなどの浅い付き合いから狙い始めているようです。
- TwitterやInstagramなどのSNS
- Tinderなどの出会い系アプリ
- 街コン
- 合コン
最初はその「マルチのニオイ」を隠して近づいてきて、親しくなってきたら毒牙で噛みつきます。
友人・知人に押し付けるのと同様に、こうして目的を隠してデート商法のように回りくどく勧誘してくるのもネットワークビジネスが嫌われる要因でしょう。
やってる人自体は否定しないけど
でもね、私は別にやってる人を否定はしません。ちゃんとTPOをわきまえて勧誘をする人なら別に良いと思います。
例えば働いていた頃の同僚で普通に性格が良くて楽しい同僚がいましたが、その人は一切勧誘をしてこなかったので周りの知ってる人から聞いて初めてネットワークビジネスをやってる人だと知りました。しかしその人は社内で一切やっていることも言わず、勧誘もしていなかったので皆に好かれていました。
くれぐれもこの記事を読んだ方は甘い言葉に惑わされて引っかかることのないようお気をつけください。