「田舎のほうが暮らしやすくていいよねー移住しようかな」
「何言ってるの?都会(東京)の方が絶対いいでしょ」
こんな論争はネットでも日常でもしばしば起こります。ネットでは某高知のブロガーが「まだ東京?」と言い始めてから論争は加速した気がします。
両方にメリット・デメリットがあり、そもそもその人の適性があるためどちらが絶対正しいということはありません。
しかし最終的に無難な選択として東京に住む人がほとんどだと思います。
一方で人生は一度しか無いため比較検討した上で田舎を選ぶというのも短い人生の中ではアリな選択だと思います。
何を無責任なことを…と思うかも知れませが、私は今は東京暮らしですが祖父母は北関東の超田舎、そして自身も中部地方に数年間住んでたことがあり田舎暮らしの良さ・悪さを知っているつもりです。
その経験・体験からお伝えしたいと思います。
目次
田舎の定義
この前提条件の認識がズレていると大変なことになります。
人によって田舎の定義はいろいろあると思いますが、私の定義を最初に解説します。
地方都市
政令指定都市(人口50万人以上等の大規模な都市)の関東圏を除いたものと、それに満たないながらもその地域の中心部とされる都市を地方都市と私は呼びます。
※厳密に言えば地方都市にはいくつかきちんとした定義がありますがこの記事での定義と捉えてください
政令指定都市は全国に20市あります。
札幌市、仙台市、新潟市、さいたま市、千葉市、川崎市、横浜市、相模原市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市
どれもなかなかの規模感の市ですね。
この中のチョイスでは浜松市や熊本市なんかは良さそうです。
また加えて基準に満たないながらもその地域の中心部とされる都市(例として甲府、郡山、盛岡など)も田舎で住むのに良い地域だと思います。
「それを田舎と呼べるのか?」という意見はもちろんあると思いますが、地方都市から車で10分・20分走ればあっという間に一面に広がる田んぼと山です。
※上記ストリートビューは郡山駅…この地方都市感がたまらん!
ちなみに私がかつて住んでいたのは中部地方の政令指定都市に満たない地方都市の中心地です。
次に紹介するのは典型的なTHE 田舎であり、私は積極的にはオススメはしません。
THE 田舎
最寄り駅から車で30分以上、家の裏が山や川、玄関を出たら一面田んぼの世界…私の祖父母の家はそんな感じです
ちなみに上の写真は2018年の夏、駅から車で1時間ぐらいの場所で撮った写真です。
青空と山、そして一面に広がる田んぼがキレイですね!
これぞTHE 田舎でしょう!
ではなぜ私はTHE 田舎より地方都市を推奨するのか?
理由は以下の通りです。
- 買い物する場所が少ない
- 食べる・飲める場所が少ない
- 医療施設等が少ない
- 濃密な近所付き合いが必須
総じて言えるのは不便だということです。これは自然が多く都会の喧騒を忘れられることの対価なのでしょうがないのです。
地方都市はこういった不便さがまだ少ないと言えます。
最後の濃密な近所付き合いについてはどうしても狭い世界で隣り合う家同士なので、何かと交流することが不可欠です。
といっても本当に山の上の村に暮らすとかでなければ、別に家に呼んで食事とかお祝いごとをするとかそんな事をする必要はありません。
すれ違ったら挨拶してちょっと雑談したり、どっか行ったらお土産を買ってみたりとかそんな程度で大丈夫です。
田舎暮らしの魅力
家賃が安い
一番の魅力は家賃の安さです。
東京都市部は一人暮らしでも安くて8万、9万円というのが相場です。
一方で地方都市部の家賃はもちろん地域によりますが5万、6万円が相場でしょう。
物件の条件、地域などを妥協すれば3万、4万円台も可能です。
私は地方都市の駅から徒歩3分、48㎡のマンションに住んでましたがそれでも家賃7万円でした。
友人は駅からは徒歩10分と少し離れましたが30㎡のマンションで家賃4.5万円でした。
ご飯が美味しい
田舎のご飯は本当に美味しいです、その地域でしか食べれないような名産品もたくさんあります。(魅力は地域によって差がありますが…)
私は休みの日に車で30分掛けて美味しいお店に行ったりしてました。
趣向を凝らした高級料理、オシャレなインスタ映えする食べ物なら東京のほうが圧倒的に多いでしょう。
しかし広大な自然を見ながら現地で取れた素材を使った料理を食べるのは田舎でしかできません。
※この写真は民家ではなくお蕎麦屋さんの中です
運転・ドライブが楽しい
田舎の道の運転は楽しいです。
道路が広いし(山道除く)混雑が少なく運転に神経を使う必要がありません。
東京は3車線、4車線があって首都高はヒヤヒヤしながら運転しなければなりません。
北海道の国道は旅行でしか走ってませんが本当に爽快で感動しました。
人が優しい
よく田舎の人間は陰湿…という声を耳にしますが、私はむしろ人が優しいと感じました。
私は仕事でいろんな家や法人を回るときがあったのですが、初対面で「まあまあ上がってってください」とお茶や果物などを出してくれることが多々ありました。
契約のあるお客さんなんかは夜遅くなった時に「夕飯食べてく?」と一緒に夕飯を食べさせていただいたこともありました。
帰り際には果物をお土産に包んでくれる徹底ぶりです。
東京じゃなかなか考えられませんよね。
よく言われる田舎暮らしのデメリット
世間が狭くすぐに噂になる
これは部分的には本当です。
部分的にの意味は「田舎度の度合いによる」ということです。
地方都市やその周辺ではご近所の噂は都会のレベルと変わりません。ちょっと変わった人やゴミ屋敷などあれば当然噂にはなりますが「○○さんちの息子さん△△らしいわよ…」なんて裏でのヒソヒソ話は別にありません。
しかしこれがTHE 田舎になれば無いとは言い切れません。事実私も祖父母のところへ行くと「○○さんちの息子さんは△△しちゃったらしい」というような話を聞かされます。
ただ私が思うのはそもそも裏での人の噂話なんて都会の職場でも学校の友達同士でもあることなんです。
だから大切なのは「困ったときなどに助けてくれる人としての優しさがあるかないか」だと思います。
そういった意味では私の祖父母は困ってる人がいれば助けるような優しい人たちで、全く陰湿なんかではありませんよ!
車が必須
これは概ね本当です。
電車だけで過ごせないことはないですが、地方都市でもローカル線は1時間に2本~3本くらいです。
また遊びに行くようなところもだいたい駅チカではないので、車がないと困りますね。
ただ私の友達はいつも私の車に乗ってどこかに出かけていたのでそういう裏技はあります(笑)
また最近だと使いたい時だけ使えるカーシェアリングサービスが流行っています。
休みの日だけカーシェアリングを使って出かけるというのは賢い利用法でしょう。
税金・駐車場・清掃・車検・点検…諸々の費用や手間を圧縮できると考えればメリットはとても大きいです。
イベントがない
確かに東京に比べれば島根でのMr.Childrenのライブは少ないと思いますし、青森でサマソニが開催されることはないんじゃないでしょうか。
こればかりはそこを重視してるかどうかだと思います。
フェス大好き、イベント大好き、ライブ大好きであれば地方暮らしは不便に感じるかも知れません。
私はバンドのライブよりラーメンのニンニクのライブ感の方が好きなので問題ありませんでした。
仕事が少ない・賃金が安い
これは傾向としては確かにあります。最低賃金も安いですし都市手当のようなものも無いでしょう。
ただ狙い目もあって「大手企業の支店」もしくは「実は全国シェアの高い地方企業」です。
前者であればだいたい基本給は一緒で福利厚生があれば快適ですし、後者なら安定している上に地元の人のウケもGOODです。
地方あるある話ですが全国区の大企業よりその地方の大企業のほうが知名度が高くウケるというのがあります。
※これと同様に早慶よりその地方の国公立大学の方が知名度が高いというあるある話もあります
地方都市選定のポイント
若い人が多い地域を選ぼう
これ超重要です、私が住んでた地方都市はこの要素が抜けてました。
駅前を歩く人の年齢層は若干高め…というか若い人がかなり少なかったです。
地方の街コン・合コンに行くと女性の年齢層は自分のひと回り上が多いです(これ本当)
若い人が少ない街だと友達も彼女もつくるのに苦労するでしょう。
じゃあどうやって若い人が多い地域を探せば良いのか?それは総務省の統計を見れば分かります。
田舎度のバランスを考える
そりゃあいきなりTHE 田舎に住んだら本当に山・川・田んぼしかないので「何もないよー」となってしまいます。
地方都市なら一通りのものは街に揃ってます。足りないものはちょっと車を走らせて郊外に行ったりネット通販で補えたりすれば良いでしょう。
地方都市に住んでみてもっと田舎に住みたいと感じたら、それから引っ越せば良いのです。最初からTHE 田舎に住むのはかなりリスクが高いです。
そして引越し先を選定するには自分のライフスタイル・趣味・必要なモノを考慮してどの程度の田舎度・都会度なら合致するのかバランスを考える必要があります。
私の例で言えば
- たまに遠出して美味しいご飯が食べられれば満足
- 街に美味しいラーメン屋や飲み屋がある
- イベントはそんな行かない
- Amazonで事足りる
という感じなので全く問題なかったです。
しかしこう見ると私はただの食いしん坊ですね…。
ふるさと回帰支援センターを利用してみるのも一つの手
東京都の有楽町駅には地方への移住をサポートしてくれる「ふるさと回帰支援センター」があります。
もし地方での暮らしに興味が湧いたら一度訪れてみるのも良いかもしれません。
地域ごとに親身な相談員がいますし、パンフレットもたくさんあるので見てて楽しいですよ。
何で地方都市推しの私が東京に住んでるのか
東京に住んでる今でも、できるなら地方都市に住みたいというのが正直なところです。
そもそも都会の喧騒はあまり好きではなく、地方都市ののんびりとした雰囲気と程よい活気、そして事足りる利便性が自分にマッチしていると感じました。
にもかかわらずなぜ東京に住んでいるのか?
一番はやはり家族と友人関係です。東京に家族(両親)や仲の良い友人がいると数百キロ離れて住むことはためらわれます。
しかし…実はいつでも地方都市に移る準備はできてます。住むあて(住むところや友人)もちゃんとあります。
今の暮らしのスタイルが確立して時間的に余裕ができれば移住することも選択肢に入ってます。
皆さんも焦ること無く色々な地方都市を旅行するなどして回って気に入ったら検討して、条件が揃ったら移住するという流れにすることで失敗しないのではないでしょうか。